独身で一人暮らしの兄弟 世話をすることが難しくなってきた場合

当事務所にもご兄弟(義理のご兄弟含む)の方から、「今まで独身の兄の世話をしてきたけれど、自分たちも年を取り、兄を支援できるほどに生活にも余裕がない。どうしたらいいか。」といったご相談が度々寄せられます。

このようなときは、使える公的支援などを検討して、お兄さんの生活が今後も成り立つ手当をしてあげることで解決できることがあります。

行政書士
行政書士
成年後見制度の利用や生活保護の申請、施設探しなどがあります。

何から手を付けていいかわからない場合は、行政書士に気軽に相談するといいよ。
ねこ助手
ねこ助手

認知症気味の場合は成年後見の申立てを視野に

お兄さんが認知症気味の場合は、成年後見の申立て(法定後見というもの)を考えることになります。
ご兄弟の方が成年後見人になると、今後も負担が増える可能性がありますので、
無理な場合は行政書士や適切な方を後見人等にしてもらう方法があります。
お兄さんのことは後見人等に任せた方が、適度な距離でお互い良い関係を築いていける場合もあります。

金銭的に不安がある場合は生活保護の申請も視野に

お兄さんに十分な資力があり、年金も十分にもらっている場合は問題ありませんが、
年金も少なく、今も生活に困っている状況である場合、生活保護を申請したほうが良い場合もあります。
生活保護の申請についても、行政書士が支援できますので、安心してご相談ください。

認知症でもなくお元気な場合は「任意後見制度」が利用できます

お兄さんが認知症でもなく、お元気な場合は成年後見(法定後見)は申立てできませんが、
成年後見制度の中の「任意後見制度」の利用は可能です。

任意後見人を選び契約することで、お兄さんの世話や様々なご契約などは、お兄さんの任意後見人が行うことになります。

お互いが笑顔でいられる関係を

成年後見制度を利用することで、お互い無理なく、今後も兄弟としていい関係を続けられるケースもあります。適度な距離感を保ち、それぞれができる範囲でできることをする、
お互いが笑顔でいられる関係を、応援します。

当事務所はおひとりさま・高齢者支援のコンサルティングを行っています。
何から手を付けていいかわからない方、
手続の方法にご不安がある方、
解決方法が分からず悩んでおられる方、
一度行政書士にご相談ください。

親の資産凍結に備える 遺言にも勝る民事信託(家族信託)

最近、このようなご相談がありました。

「親の認知症がひどくなってきたので、介護施設の一時入居金を捻出したいと思って。それで、実家を売って、その資金にしたいと考えたんです。でも、不動産屋に、親が認知症と説明すると、取引を断られたんです。いったい、どうしたらいいんでしょう。」

親の資産である家を売却して、親のためにお金を使いたいだけなのに、です。

親が認知症になると、実家が売れない

実は、不動産の所有者である親=売主が認知症になってしまっていると、本人の意思確認ができないため、不動産を売却することはできなくなっているのが現実です。

では、親のために家を売る方法はないのか。

親の認知症がまだ初期の場合は、意思がはっきりしている時間も多いため、簡単な意思表示は出来ることも予想され、ギリギリ売却お手続きはできるかもしれません。

ただ、認知症も法定後見でいう「後見」「保佐」あたりの状態だと、取引は難しくなります。
その場合、通常は成年後見人を立てれば、成年後見人による売却は可能です。
しかし、成年後見人はワンポイントの助っ人、というわけにはいかず、親が生存している限り、長いお付き合いとなります。当然、報酬も発生するわけで。

成年後見人に子供が名乗りを上げることは可能ですが、財産額などにより、専門家が選ばれる場合もあります。

もし、子供が選ばれた場合でも、毎年1回、業務内容や金銭管理の状況を、家庭裁判所に定期報告することが義務付けられています。
子どもだからと無報酬でも構いませんが、結構大変だと思います。

では、どうすれば良かったのか。

認知症になる前なら、民事信託で解決できる

親が認知症になる前だったら、親と子供で【民事信託】を利用していれば解決できました。
【民事信託】とは、家族の問題を家族の力で解決できるようになるシステムです。
【民事信託】を使うと、親が認知症で判断能力が低下した後でも、財産の柔軟な活用が可能になります。

「信託」という言葉が使われますが、よく言う「投資信託」とは全くの別物です。投資することや、利益を求めるものではありません。

例えば、
「将来私が認知症になったら、この家を売って、施設の費用に充ててください。」という契約を、信頼できるご家族と結びます。
自宅の名義は形式的にはご家族に移りますが、実質的な自宅の保有者は親なので、売却代金は親が受け取ることになります。

親が施設に入ることとなり、自宅が空き家になった後、自宅の買い手が見つかれば、ご家族が売買契約書にサインすることになります。
たとえ、親が認知症になり、判断能力がなくなっても、元気なうちにご家族に家の管理を託しているので、ご家族一人で売買契約が可能です。

何も対策をしないまま認知症になるとどうなるか

何も対策をしないまま認知症になってしまうと、家の売却は成年後見制度を利用するしかなく、家庭裁判所に申し立てて、家の売却のみならず、日々の金銭管理・生活の監督も受けることになります。
家の売却も、家庭裁判所の許可が必要となり、簡単にはいかなくなります。

民事信託は財産の管理を託された家族(受託者)に責任が生じますが、信頼できる家族がいる場合は、成年後見制度などの第三者の力を借りなくても、親(委託者)の資産を親のために使うことが可能になるのです。

転ばぬ先の杖として、判断能力がなくなる前に【民事信託】の準備を始めてみてはいかがですか。



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