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任意後見の色々な利用法
任意後見契約は必ずしもお年寄りだけを対象とする制度ではありません。任意後見制度をうまく活用すれば、将来への不安を解消することができるかもしれません。
身寄りが全くいなくて、将来のことが不安な方
夫も先立ち、子どももいない方などは、遠くに親類が居ても先々のことが不安になるのが自然なことだと思います。
判断能力がしっかりしているときであれば、任意後見契約を締結することが可能です。
任意後見契約は判断能力が低下したときに始めて、任意後見人による支援が開始しますので、お元気なうちは月々のお支払いなどは発生しません。
ただ、定期的に見守ってほしい場合などは、別途「見守り契約」を締結するとより安心です。
高齢者施設入居の際、「身元引受人」の代わりに「任意後見」をたてる必要があると言われた方
任意後見人は「身元保証人」や「身元引受人」にはなれませんが、施設側の契約内容により、任意後見契約を締結することで、身元引受人をたてなくても解決する場合があります。
これは施設側が要求するであろう以下の手続きが、任意後見人の関与により補完できるとされるためです。
- 入所費の支払い(支払保証を含む)
- 施設が提供する介護サービス等の確認
- 病院への入退院の手続き(入院保証を含む)
- 手術などの医療に関する同意
- 死亡時の身柄の引き取り
- 居室の明け渡し(室内の動産処分を含む)
ただし、1,3の保証については、別途の制度を利用した支援が必要となります。
また、4については、事前にご本人の御意思をしっかりと確認したうえで、「リビングウィル」等を作成しておき、病院に伝えることになります。
上記の場合は、任意後見契約の締結とは別に「財産管理契約」や「死後事務委任契約」等を締結する必要があります。そうすれば、日頃の財産管理や万が一お亡くなりになった後の様々な事務を受任することが出来るようになります。
高齢者施設入居前に、将来認知症等になったときに備えて、施設以外の公平な第三者に財産管理等をお願いしておきたい場合
ご本人の権利擁護のために、ぜひとも任意後見契約のご利用をお勧めしたい場面です。
一旦施設に入居し、その後判断能力が不十分になった場合、ご家族がしっかりと見守ってくださる場合は大丈夫ですが、それがままならない場合、施設以外の公平な第三者が財産管理も含め、しっかりとご本人を見守るチェックの仕組みが必要だと考えます。
ご本人と施設側は利益相反関係にあります。
介護サービスの粗悪さなどによる被害は、死亡後に明らかになることが多いです。それは、帰る住まいも既になく、施設に居辛くなるのを恐れて、なかなか言い出せないことに起因しています。
そもそも、判断能力が低下した時点では、それが適切な介護なのか、適正な管理であるのかさえ分からなくなります。
任意後見契約を締結しておくと、ご本人の権利擁護のため、ご本人がお元気なうちに交わしたご契約内容に基づき、公平な第三者である任意後見人がご本人にとって最善な解決策に導くことができるようになります。
自分の判断能力が低下した時、障害のあるお子様のことが心配な方
親である自分の死後、知的障がい者、精神障がい者、身体障がい者等の子どもをどうしたらいいのかを「親なき後の問題」といいます。
現在はこの問題に正面から答える法律が整備されていないため、財産管理契約及び任意後見契約を活用して支援する方法があります。
子どもが成年である場合は、子どもに意思能力がある限り、任意後見契約を結ぶことができます。
子ども自身が委任者、親が受任者となり契約を結びます。
この場合、万が一に備えて、信頼できる親よりも若い第三者に親と共に各自代理の任意後見受任者となってもらうのがよいでしょう。
親が認知症になったり死亡した場合に、子どもはもう一人の受任者から支援を受けることが出来るようになります。
また、親もいつまでも元気であるとは限らないので、親自身が任意後見契約を締結しておくことも必要です。
親の判断能力が不十分になった後は、親の任意後見人が親の財産管理の内容として、子どもの生活、療養看護に必要な支援のため、
①子供の生活費を定期的に支給する代理権を与えておく、
②子供の介護などの事実行為について準委任契約を結んでおく、
③親の任意後見の代理権の範囲に子供のための法定後見申立の代理権を与えておく、
などの方策が必要となります。
判断能力はしっかりしているものの、病気を患っており、将来のことが心配な方
このような場合には、判断能力に問題が無いうちに、今後の将来の希望なども含めた内容の任意後見契約を締結しておく方が安心です。
将来のことを頼める相手と、何をどこまで任せるか話し合います。
終末期の医療に対する希望などは「尊厳死宣言書(リビングウィル)」で残すほうが安心です。
身体障害のみで判断力がしっかりしており、将来のことや現在の生活の助けを求められる方
判断能力の低下が無く、身体障がいのみでは、法定後見制度の利用はできませんので、任意後見契約を締結することになります。
また、任意後見契約では判断能力が低下しないと支援が受けられないので、現在から様々な事務を依頼したい場合には、移行型の任意後見契約の締結時に、別途「任意代理契約」を締結する必要があります。
どのようなことを代理してもらいたいのかを話し合い、代理権目録に記載します。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
ご相談 (1時間あたり) | 5,500円(出張相談 8,800円) | 正式ご依頼時以降は相談料は無料 |
財産管理委任契約書起案① | 66,000円 | |
任意後見契約書起案② | 66,000円 | |
死後事務委任契約書起案③ | 110,000円 | |
上記①②③同時契約の場合 | 220,000円 | |
任意後見人業務 | 月額報酬 33,000円~ | 定期的な入出金管理、事前に決めた面談等 |
財産管理(任意後見開始前) | 月額報酬 22,000円~ | 財産管理を開始している場合 |
その他訪問・外出同行等 | 1時間あたり8,800円 | 1日最大44,000円 |
公的書類取り寄せ代行 | 1通当たり3,300円+実費・交通費 | |
日常的な業務以外 | 別途提示 | |
交通費・通信費など | 実費 |
任意後見契約の流れ
1.お問い合わせ | お電話かメールにてお問い合わせください。 |
2.初回相談 | 当事務所か施設・病院等にて行います。 本人様の状態をよく知る担当のケアマネージャーさんや包括支援センターの職員さんに同席していただけると助かります。 |
3.正式依頼 | サービス内容や金額の具体的なお見積もりを提示し、ご納得いただいてからのご契約となります。 |
4.複数回のヒアリング | 今後の生活のご意向やご家族、親族関係、収支の状況などを聞き取ります。 |
5.契約書案を起案 | 当事務所で任意後見契約書の起案を行います。適宜、原案の確認をお願いしています。 |
6.公証人との打ち合わせ | 任意後見契約は公正証書にする必要があります。 行政書士が事前に公証人と打ち合わせを行い、契約日や契約場所などの調整を行います。 |
7.任意後見契約締結 | 公証役場で任意後見契約を締結します。 公証役場まで行けない場合は、病院や施設にて行うこともできます。 |
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